VRChat Udon Graphの使い方|非プログラマー向け入門

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VRChatのUdon Graphとは?使い方を学ぶ前の基礎知識

「自作のワールドにもっと動きを加えたい!」「フレンドを驚かせるようなギミックを作ってみたい!」そう思っていませんか?

そんなあなたの創造性を形にしてくれるのが、VRChatの「Udon(うどん)」というシステムであり、その中でも特にプログラミング未経験者に優しい「Udon Graph」です。

ここではまず、Udon Graphがどのようなもので、なぜあなたのようなクリエイターの強い味方になるのか、その魅力と基本を解説しますね。

Udon Graphでワールドはここまで面白くなる!

結論から言うと、Udon Graphを使いこなせば、あなたのVRChatワールドはただの「景色」から、触って遊べる「テーマパーク」へと進化します。

静的なオブジェクトを配置するだけだったワールドに、インタラクティブな「動き」や「仕掛け」を加えられるようになるのです。

例えば、プレイヤーが近づくと自動で開くドア、スイッチを押すと変化する照明、特定のアイテムを持つと再生されるビデオプレイヤーなど、想像できるほとんどのアイデアはUdon Graphで実現可能と言えるでしょう。

フレンドがあなたのワールドに遊びに来て、あなたが作ったギミックに触れて「すごい!」と驚いてくれる。

Udon Graphは、そんな最高の瞬間を生み出すための魔法のツールなのです。

プログラミング未経験でも大丈夫な3つの理由

「でも、ギミック作りって結局プログラミングでしょ?難しそう…」その気持ち、すごくよく分かります。

僕もプログラミングは得意ではありません。

でも、Udon Graphなら大丈夫。

プログラミング経験がなくてもギミックを作れる理由は、主に3つあります。

  • 1. コードを一切書かなくていい:
    Udon Graphは、命令が書かれた「ノード」というブロックを、パズルのように線で繋いでいくだけ。黒い画面に英語の呪文を打ち込む必要はありません。
  • 2. 視覚的にロジックを理解しやすい:
    「プレイヤーがボタンを押したら(きっかけ)→音が鳴る(結果)」といった処理の流れが、ノードと線の繋がりで一目瞭然。直感的に「何がどう動いているか」を理解できます。
  • 3. 先人たちの豊富な作例がある:
    今では多くのクリエイターがUdon Graphの作例や解説記事を公開してくれています。最初はそれを真似するところから始めれば、自然と仕組みが身についていきますよ。

このように、Udon Graphはプログラミングの壁を限りなく低くしてくれる、画期的なツールなのです。

UdonSharpとの違いとどちらを学ぶべきか

Udonには、Udon Graphの他に「UdonSharp(うどんシャープ)」という、C#というプログラミング言語でコードを書いてギミックを実装する方法もあります。

ここで、「じゃあ、どっちを学べばいいの?」と迷うかもしれませんね。

両者の特徴を簡単に比較してみましょう。

Udon GraphUdonSharp
長所視覚的で分かりやすい<br>プログラミング不要複雑な処理が可能<br>パフォーマンスが良い
短所複雑な処理は苦手<br>ノードが増えると見づらいC#の知識が必須<br>学習コストが高い
おすすめな人プログラミング未経験者<br>デザイナー・プランナープログラミング経験者<br>エンジニア

結論から言うと、プログラミング経験がまったくない方は、間違いなくUdon Graphから始めるべきです。

まずはUdon Graphでギミック作りの楽しさと基本的な考え方を学び、もし物足りなくなったらUdonSharpに挑戦するのが、最も挫折しにくい学習ルートだと僕は思います。

Udon Graphの使い方入門|ドアの開閉ギミックを作ろう

お待たせしました!ここからは、いよいよUdon Graphの具体的な使い方を解説していきます。

「習うより慣れろ」ということで、今回はVRChatワールドギミックの定番である「プレイヤーが近づくと自動で開くドア」を一緒に作っていきましょう。

このチュートリアルを終える頃には、あなたはUdon Graphの基本をマスターし、自分の力でワールドに命を吹き込む第一歩を踏み出しているはずです!

Step1:Udon Graphを使うための環境準備

まずは、Udon Graphでギミックを作るための作業環境を整えましょう。

VRChat Creator Companion(VCC)を使えば、とても簡単に準備ができます。

  1. VCCを起動し、「New」ボタンから新しい「World」プロジェクトを作成します。
  2. プロジェクトが作成されたら、「Projects」タブから今作ったプロジェクトを選択し、「Open Project」ボタンを押してUnityを起動してください。
  3. VCC経由でプロジェクトを作成すれば、Udon SDK(Udonを使うための基本ツールセット)は自動で導入されるので、特別な設定は不要です。

これで、Udon Graphを使う準備が整いました。

とても簡単ですよね。

Step2:Udon Graphの基本操作と画面の見方

次に、Udon Graphを編集するためのエディタ画面を開いて、基本的な操作に慣れていきましょう。

Unityのメニューバーから「Window」>「VRChat SDK」>「Udon Graph」を選択すると、Udon Graphのエディタウィンドウが表示されます。

最初は空っぽのグラフが表示されるだけですが、これがあなたのアイデアを描くキャンバスになります。

この画面の何もないところを右クリックするか、スペースキーを押すと、ノードを検索するためのメニューが出てきます。

ここから使いたいノードを探し、ドラッグ&ドロップでグラフに配置し、ノードの丸い部分(ポート)同士を線で繋いでいく。

これがUdon Graphの基本的な操作の全てです。

Step3:ノードを繋いでロジックを組む【実践】

それでは、いよいよドア開閉のロジックを組んでいきます。

まず、ワールドにドアとなる適当なCube(立方体)オブジェクトを配置してください。

次に、そのドアオブジェクトに「Udon Behaviour」というコンポーネントを追加し、「New Program」ボタンで新しいUdon Graphアセットを作成します。

作成したアセットをダブルクリックしてUdon Graphエディタを開き、「プレイヤーがドアに触れたら、ドアを90度回転させる」というロジックを組んでいきましょう。

具体的には、「OnPlayerTriggerEnter」というイベントノードと、「Transform.SetRotation」というアクションノードなどを繋いでいくことになります。

言葉で聞くと難しそうですが、実際にやってみるとパズルをはめるような感覚で、きっと楽しめるはずですよ。

Step4:動作テストとワールドへのアップロード

ロジックが完成したら、VRChatにアップロードする前に、Unity内で正しく動くかテストしてみましょう。

Unityの再生ボタン(▶)を押し、VCCの「Play Mode」機能を使えば、PC上でVRChatクライアントを起動して動作確認ができます。

実際にアバターをドアに近づけてみて、設計通りにドアが開けば成功です!

もし動かなかった場合は、ノードの繋がりや設定値が間違っていないか、もう一度見直してみてください。

動作が確認できたら、あとは通常のワールドアップロードと同じ手順でVRChatにアップロードすれば、あなたのギミック付きワールドの完成となります。

これだけは覚えたい!Udon Graphの重要ノード3選

Udon Graphには無数のノードが存在しますが、全てを覚える必要はありません。

実は、たった数種類の重要なノードを組み合わせるだけで、基本的なギミックのほとんどは作れてしまいます。

ここでは、僕が「これだけは絶対に覚えてほしい!」と考える、特に重要な3種類のノードの役割について解説します。

きっかけを作る「イベント」ノード

イベントノードは、Udonの処理を開始させる「きっかけ」の役割を果たします。

「もし〜が起きたら、〇〇する」の「もし〜が起きたら」の部分ですね。

これがなければ、Udon Graphはただの絵に描いた餅になってしまいます。

まず最初に覚えるべきなのは、以下の代表的なイベントノードです。

  • Start:
    ワールドに誰もが最初に入った瞬間に、一度だけ実行されます。BGMの再生などに使われます。
  • OnInteract:
    プレイヤーが対象のオブジェクトにカーソルを合わせてクリックした時に実行されます。スイッチなどに最適です。
  • OnPlayerJoined:
    新しいプレイヤーがワールドに入ってきた時に実行されます。入室メッセージの表示などに使われます。

これらのイベントを使い分けることで、ギミックが動き出すタイミングを自由にコントロールできるようになります。

動きを命令する「アクション」ノード

イベントをきっかけに、実際に何らかの「動き」を起こすのがアクションノードの役割です。

「〇〇する」という具体的な命令そのものですね。

無数にあるアクションノードの中でも、特に使用頻度が高いものをいくつか紹介します。

  • GameObject.SetActive:
    指定したオブジェクトの表示/非表示を切り替えます。壁を消したり、隠しアイテムを出現させたりできます。
  • Transform.SetPosition:
    オブジェクトを指定した座標に移動させます。簡単なエレベーターなどに活用できます。
  • AudioSource.Play:
    指定した効果音やBGMを再生します。

これらのアクションを組み合わせることで、ワールドに多彩な変化を生み出すことが可能になります。

情報を記憶する「変数」の考え方

最後の「変数」は、少しだけプログラミングらしい概念かもしれませんが、非常に重要です。

変数は、数値や状態などの情報を一時的に入れておく「箱」のようなものだと考えてください。

例えば、「スイッチが押された回数」を記憶したり、「ドアが開いているか、閉まっているか」の状態を覚えておいたりするのに使います。

Udon Graphでは、Bool(はい/いいえの2択を記憶)、Int(整数を記憶)、Float(小数を記憶)などの変数がよく使われます。

この変数の値をイベントをきっかけに変更し、その値に応じてアクシ